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サックスの自動演奏ロボットから分かること

" アレクサンダー・テクニーク "

2018年9月17日

こんにちは!ハリ弟子です。

 

クラリネット奏者のアンブシュアを研究していてこんな文献を見つけました。

 

管楽器演奏装置、及び管楽器の自動演奏方法

 

トヨタとヤマハがサックスの自動演奏ロボットを開発する中で発表した技術論文のようです。

 

人間にとっては簡単なことが機械では難しいというのはよくあります。

 

人間がやる時は無意識に最適化していることでも、機械は設計したとおりにしか動いてくれないからです。

 

工学系の人たちのいいところはこの無意識に気づかせてくれることです。

 

無意識を理解していることがアレクサンダー・テクニークのレッスンでも活きてくるのです。

 

気になったところをいくつか抜き出してみます。

 

0003

「木管楽器を吹鳴させようとした場合、楽器リード部分の内側と外側の気圧をある一定の圧力差にすることで、リードを振動させる必要がある。」

 

0006

「吹鳴状態の密閉室(人工口腔)の気圧は、ある範囲に留まる必要があり、臨界圧を超えると、リードの振動が停止してしまう。」

 

0007

「人工口腔内をリードが閉じてしまうような高い気圧から、所望の気圧に下げていった場合、同じ吹鳴圧でも違うモード(1オクターブ上)の音が鳴ってしまう可能性がある。さらに、温度や湿度、外気圧によっても最適な吹鳴圧、及び臨界圧は、変化するため、入力側の気圧制御のみでは、安定して吹鳴させることが困難である。」

 

言うまでもなくリードの内側は口の中、外側は楽器の中のことで、口の中の圧力>楽器の中の圧力で空気が口から楽器に流れる、つまり吹くという動作になります。

 

ただし口の中の圧力がある一定を超えるとリードの振動が止まる、つまり強く吹き過ぎるとかえって音が鳴らなくなります。

 

そのように強く吹き過ぎてから本来音が鳴る程度のレベルまで吹き方を弱めた場合、物理的に同じ圧力で吹いてもオクターブ上の音が鳴る可能性があるそうです。

 

さらに音が鳴るのに最適な圧力や、リードの振動が止まる限界の高い圧力は温度、湿度、外気圧によって変化すると書いてあります。

 

0026

「制御部60は、人工歯データに基づいて、人工歯44を駆動する。これにより、リードを押し付ける押し付け圧及び押し付け位置等を調整することができる。」

 

0042

「サックスフォン12を吹鳴させる場合、人工口腔40内だけでなく、サックスフォン12内、すなわちマウスピース14内の気圧を上げる必要がある。このため、送気開始時は、図6に示すように、実質的な供給量を多くする必要がある。」

 

0043

「しかし、リード15が一旦発振した後も、同じ量の空気を送気すると、人工口腔40内の圧力が高くなりすぎる。よって、人工口腔40とマウスピース14との圧力差が大きくなり、リード15を通過する空気量が減少する。そして、圧力差がさらに大きくなっていき、リード15が停止してしまう。」

 

ロボットには人工の歯と唇が取り付けられていて、歯は噛む圧と位置を変えられます。

 

人間で言えば下あごの動きとごく微妙なレベルでは表情筋を使って唇の形や位置を変えることでも対応しているような気がします。

 

吹き始めの音が鳴るところまではマウスピース内の気圧を上げる必要がありますが、音が鳴り始めてからも同じ息の量で吹き続けると口の中と楽器の中の圧力差が大きくなり過ぎてリードの振動が止まります。

 

なので音が鳴ったらあとは息の供給量を少し落とした方が安定して鳴らせるようです。

 

どうも圧力差があり過ぎると流れる空気の量が減るようで、リンク先の解説にある図7はそのことを表しています。

 

吹き始めにちょっと多めに息を入れて鳴るのに適切な圧力差まで素早くもっていく必要があるのもこのことと関連しているのでしょう。

 

0044

「制御弁52でリリーフ圧を変えることで、人工口腔40の圧力が減少していく場合と、圧力が増加していく場合とで、同じモードの音を鳴らすことができる。これにより、テンポの速い曲を演奏する場合でも、安定して演奏することができる。また、音階によっても吹鳴に適切な口腔圧は変化するが、それに伴ってリードが閉じてしまう臨界圧も変化する。ここでは、制御弁52が、演奏データに応じて、臨界圧に合ったリリーフ圧を設定することで、より正確な演奏が可能になる。」

 

0045

「さらに、温度や湿度、外気圧によっても最適な吹鳴圧、及び臨界圧が変化する。このため、リリーフ弁53を用いて人工口腔40内の気圧を調整することで、より正確に演奏することができる。すなわち、リリーフ弁53の出力ポートは、大気中に接続されているため、大気の湿度と温度や、外気圧が変化すると、リリーフ圧も変化する。よって、安定した演奏を正確に行うことができる。」

 

テンポの速い遅い、また音階によって鳴らすのに必要な口の中の圧が違うと言っています。

 

また温度、湿度、外気圧によってもそうした圧力が違うのでそれぞれに応じて口の中の圧を変える必要があります。

 

このロボットでは口の中の圧力をコントロールするために制御弁を付けていて、圧力が高くなり過ぎるとわざと口から息を漏らすような仕組みになっています。

 

人間でこれをやるとしたら、マウスピースのわきの唇からわざと息を漏らすようなものでしょうか。

 

意図的にコントロールしてやったらこれも技術のうちでしょうが、普通は息の供給量を変えることでコントロールするところでしょう。

 

呼吸のコントロールが果たす役割はけっこうありそうです。

 

特に温度、湿度、外気圧の変化への対応については考えたこともありませんでした。

 

もしかしたら新しい視点が隠れているかも知れません。

 

ところでトヨタといえばトランペットやヴァイオリンのロボットは世に出ていたような気がしますが、サックスは探しても出てきませんでした。

 

実際に吹いているところをぜひ見たかったですが、代わりに金管カルテットの動画を。

 

この記事を書いた人

2016年、東京練馬区の江古田にてbodytune鍼灸マッサージ院を開業。

鍼灸師、マッサージ師。アレクサンダー・テクニーク教師。

 

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