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bodytune(ボディチューン)音楽家のための鍼灸

チェロの高音で身構えてしまう

" アレクサンダー・テクニーク "

2019年4月19日

先月の「音楽家のアレクサンダー・テクニーク 2 days レッスン会」でのひとコマ。

 

チェロの参加者の方から高い音への跳躍について相談いただきました。

 

高い音で左手の指を当ててきれいな音出すの難しいですよね。

 

指先の向かう方向だったり短くなった弦に合う弓の運び方などなどいろいろ思ったのですが、そんなことより大切なことを思い出しました。

 

この方は大人になってからチェロを始められました。

 

見ると高音に移る時に身構えてしまいます。

 

まず、音を出すのとは関係なく左手で指板の上をなぞって、どこまで届くか見てもらいました。

 

一番下の指板がなくなるところまで難なく届くのを確認してから

 

「欲しい音はその間のどこかに絶対ありますよ」

 

そう言うとパッと表情が明るくなりました。

 

「そうですよね、この間のどこかに絶対ありますよね」

 

なんでこんなことを言ったかというと、僕自身コントラバスでよく陥るスポットだからです。

 

僕もコントラバスの譜面で高音を見ると身構えます。

 

大人になってから楽器を始めると何かしら他の種目?で培ったスキルを応用するのが普通です。

 

たいていは歌のそれを持ち込んでしまう気がします。

 

管楽器でも吹きながら声が出てしまう人、たまにいないでしょうか?

 

僕も以前チューバを吹いてたころ、高音で喉を絞めていました。

 

絞めると鳴らないのにどうしてもそうなっていて、考えたら歌でも同じことをしていました。

 

その後、楽器をコントラバスに変えても高音でやはり喉が絞まり、顎に力が入ります。

 

チューバの吹き方でコントラバスを弾こうとしてるのですね。

 

弦楽器は指板上のどこかで弦を止めれば必ず何かの音が鳴る仕組みです。

 

どんなに高い音であっても原理は同じなので、歌や管楽器のように高音のために「力」は要りませんし「出せるか?」の心配も要りません。

 

僕の身構えは主に「出せるか?」の心配から来ていましたが、弦楽器は何なら高い方にだって簡単に外せるわけで、これって無意味な心配ですよね。

 

今でも時々この心配が顔を出すので、それが無意味なことを体で納得するため指板の一番向こうまで手を伸ばして届かせてあげます。

 

これはあくまでも僕の場合です。

 

この参加者の方の身構える動きが何に端緒があるかは分かりません。

 

でも身構えたまま高音を出せるよう努力するより、身構えを解除して高音の技術を育てる方が絶対に良いと考えています。

 

僕と同じように大人になってから楽器デビューした人にはわりとこういうパターンあるのではないでしょうか。

 

思い込みさえ外してあげれば純粋に技術の問題だけ解決すれば良く、頭の中で鳴っている音楽は年齢なりにむしろ成熟してたりするので、のってくると本当にいい音になって驚くことがよくあります。

 

この方もレッスンの終わりごろにはとても情感のこもったビブラートを聞かせてくれて、僕にとって心に残るレッスンになりました。

この記事を書いた人

2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。

2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。

はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師

 

カテゴリー: アレクサンダー・テクニーク. タグ: , , , .
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