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bodytune(ボディチューン)音楽家のための鍼灸

木管楽器

来院者

男性 30代 サックス

期間

2018年4月~5月

症状

サックス奏者、楽器講師の方。1か月前に左耳が突然聴こえなくなった。すぐに耳鼻科を受診して突発性難聴と診断されアデホスコーワとメコバラミンを処方された。聴力は回復しつつあるが日によって、また一日の中でも状態が変わり安定しない。来院の前の週には難聴がぶり返した(来院時はほとんど問題なし)。左耳から聞こえる音が高く聞こえたり低く聞こえたりする。音楽の仕事をしているので左右で音程が異なって聞こえるのは苦痛である。そのほか首・肩・背中の左側が慢性的に張っていて痛みもある。

施術と経過

触れて確認すると本人の自覚どおり首・肩・背中の左側が硬く張っていた。また左顎関節にも強い緊張が認められた。こうした緊張と突発性難聴が同居することはよく見られる。緊張をゆるめることで耳の症状の改善と安定化をはかることとした。

1回目 特に左側頚部の緊張が強かったので手のツボを使ってゆるめた。

2回目 前回の施術の2日後に左耳が再び聞こえなくなったが1日でもとに戻った。音程は相変わらず左右で違って聞こえる。腹部に硬い張りがあったので前回のツボに加え腹部をゆるめる施術をした。

3回目 「施術翌朝の目覚めがとても良い」との感想をいただく。耳鼻科の検査でも聴力はほぼ正常範囲内に戻ってきた。

4回目 聴力は安定している。首・肩・背中の左側の痛みもなくなった。聞こえ方が安定してきたのでひとまず終了とした。

使用したツボ

翳風L、後渓L、合谷L、曲泉L・R、足三里L、飛揚L、膈関L、

来院者

女性 50代 フルート

期間

2019年10月

症状

緊張やかみしめの癖があり呼吸が浅い自覚がある。楽器演奏以外にも会話で声がかすれたりむせたりする。首に手術による切開痕があって、首の前をしめつけられるような皮膚が張り付いているような感じがする。

施術と経過

施術前にフルートを吹いてもらい、ブレス時の動作で、肋骨上部の動きにまだ使われていない可動性があると考えた。また声についても会話の中でややかすれ気味なところがあるのを確認した。

首まわりを触診して調べると後頭部直下の首の筋肉に強い筋張りが感じられた。また肩にも固いこりがあったので、それぞれに関係する背中と脚のツボに鍼をした。再度触診すると首と肩の張りは緩和された。首の後面がゆるんだことで今度は首の側面から前面にかけての張りが分かりやすくなり、さらに調整するために手のツボに鍼をした。

施術後にフルートを吹いてご本人に確認してもらうと、より息が入るようになり音の響きも増したとの感想を得る。また話し声も響くようになったことを自覚できた。

首肩のこりで呼吸のキャパを損するケースは意外と多いと思う。日常生活では呼吸が少々浅くても問題を感じることはあまりないが、管楽器奏者にとってはちょっとしたことがやりづらさにつながる。本例では緊張やかみしめの結果、首や肩が固く張っており、肋骨上部の動きを制約していたと考えた。

使用したツボ

T1(1.5)R、T3(3)L、合谷L・R、曲池L、築賓R、飛揚L

来院者

女性 20代 クラリネット

期間

2019年7月

症状

音大クラリネット科の学生。

数日前に左手小指のキーがすべるようになった。その後、手首、肘、上腕へと痛みがひろがり腕全体が痛い。レジスターキーの操作もやりづらく練習に支障が出ている。

施術と経過

左手の動きを確認すると、手首の屈伸と前腕の回内・回外の可動域が狭くなっていることが分かった。手首を屈曲した状態で特に痛みが誘発され、強いつっぱりにより手背をベッド面につけることができないくらいだった。

触診すると背中の肩甲間部に強い硬結を認めたため、胸椎の可動性を回復する施術をした。施術後は手首の可動性も回復し、痛みなく手背をベッド面につけられるようになった。

後日メールでやりとりしたところ腕の症状については問題になっていないことを確認した。

手指や腕は肩甲骨、鎖骨を介して体幹の骨格と接続している。胸椎の動きが悪くなると肩甲骨の可動性を損ない、結果として末端の手指の動作がやりづらくなるといった症状で表れる。このような場合、症状の出ている手や腕のツボを使っても改善は可能だが、多くの音楽家にとって手は繊細なコントロールをしたいところであり、そこに直接鍼をするのは抵抗がある。この例では手や腕には一切触れず、症状の大元となる胸椎にアプローチすることで解決ができた。

使用したツボ

玉陽L、T1(1.5)R、T3(1.5)L、T5(1.5)L

来院者

女性 50代 クラリネット

期間

2019年5月

症状

主にバス・クラリネットを演奏する愛好家の方。1か月前から右側の腰からお尻にかけて痛みを感じるようになった。仕事で使っているパソコンの画面がレイアウトの関係で自分の正面になく、左右どちらかに置かれている。そのため椅子に斜めに腰掛けたり体をひねり気味にして長時間入力することがある。

また首から肩甲骨にかけてずっと慢性的な固さを感じている。

施術と経過

背中を触診すると胸椎辺縁に顕著に硬結が認められた。またあおむけで膝を伸ばしたまま股関節から脚を上げてもらうと右の方が上がりづらく痛みがあった。

座骨神経痛を視野に入れつつもそれはむしろ二次的な症状であって、胸椎の動きを回復することがより根本の原因解決ととらえて施術を組み立てた。

脊椎の中でひねる動き(回旋)は頚椎と胸椎が主に担当しており、腰椎はこの動きは得意ではない。しかし首から肩甲骨にかけての慢性的な固さにより胸椎でのひねりが足りない分、本来不得意な動きを腰椎部分が頑張って対応した結果、症状としては座骨神経痛気味の腰痛としてあらわれたと考えた。

手と背中のツボで胸椎の動きを、ふくらはぎと臀部のツボで腰痛に対応し、腰痛は消失。

しかし、仙骨上部両側に痛みが移動したため、これはアレクサンダー・テクニークによる股関節の可動性促進で解決した。

使用したツボ

後渓R、精霊R、T1夾脊L、T4夾脊R、L5夾脊L・R、飛揚L・R、環跳R

来院者

女性 30代 オーボエ

期間

2019年1月

症状

プロのオーボエ奏者の方。1年ほど前から右手薬指がからむ運指がやりづらくなり、薬指が上がらずにミストーンになることもある。

また首肩から背中にかけて慢性的にひどいこりがあり、現在は治っているが小児喘息をやったことがある。

施術と経過

オーボエを構えて実際に右薬指がからむ音形を演奏してもらうと、確かに薬指だけが伸展した状態で動かしにくそうになっていた。腕の構造全体の中で末端の指が動かしにくい時は、指より体幹側の手首、肘、肩、肩甲骨そして胸椎がどう動くと良いか考えると解決につながることが多い。

そこで肘、肩甲骨、脊椎及び脊椎の動きと関係する足のツボを使って調整。

施術後、首肩から背中の慢性的なこりが軽くなり、再度演奏してもらうと薬指がより上がるようになった。鍼をする前は肩を回すとゴリゴリとしていたのがなくなりかなり楽になったとの感想をいただく。

続けてアレクサンダー・テクニークを使って前腕の回内・回外の動きでさらに微妙な手首の角度調整を行った。

3か月ほど継続して来院いただき、4回目でほぼ気にならないレベルまで動きが良くなったので終了とした。

指の不調はすべて首肩こりから来ている、あるいは首肩こりがあると必ず指の不調を招くというほど単純ではないが、本来動けるところを固めたままやり続けることで高い巧緻性を要する動作ほどやりづらくなる。一般的日常動作ではそこまでの巧緻性が要求されず単なる首肩こりで済むものが、演奏家の場合には演奏できるかできないかといった白黒つきやすい形で症状があらわれるように思う。

使用したツボ

C7夾脊L、T5夾脊L、陽池L・R、肩外兪L・R、申脈L・R

来院者

男性 40代 クラリネット

期間

2018年4月

症状

趣味でクラリネットを演奏する愛好家。

2か月前に左耳突発性難聴を発症して耳鼻科で治療している。聴力自体は回復してきているが、聞こえ方に違和感が残っている。

違和感は、膜が張ったような感じがしてドレミでいう「シ」の音程でシャーという音がずっと聞こえている状況。「シ」の音程で自分が口笛を吹いたり周囲が騒がしいと左耳がわんわんと反響する。アマオケの合奏練習では左側からの音が聞こえづらく合わせるのが難しい。また日常生活では高い音が聞こえづらい。

プレドニン、イソソルビド、アデホスを服用している。

施術と経過

触診すると左手小指の付け根と手の甲にあるツボに顕著な硬さが認められた。また左耳の後ろにグミのような硬さのふくらみを触れた。小指の付け根のツボに鍼をしたところ、左耳がスッと晴れた感じがしたとの感想。同時に左耳後ろのふくらみがやわらいだ。

その他、全身に緊張気味で脊椎の両脇や足の両側面がかたく張ったようになっていたので背中や足のツボを使ってバランスをとった。

回を重ねるにつれて左耳に膜が張ったような感じはうすらいでいき、わんわんと反響することもなくなっていった。5回目の時にアマオケの合奏練習で聞こえ方がかなりクリアになったことが確認できたのでそこで終了とした。

使用したツボ

後渓L、中渚L、翳風L、C7夾脊L、T4夾脊L、陽陵泉L・R、飛揚L・R

来院者

女性 20代 オーボエ

期間

2018年7月

症状

音大で専門的に学ぶオーボエ奏者の方。2週間ほど前から右手がしびれ、数日前からは左手もしびれ始めたことから危機感をもって来院。整形外科も受診していて服薬治療中。右手がしびれ始めた時期はコンクールの準備で根を詰めて練習していた。

他に頭痛、肩こり、目のかすみ、たまに腰痛(左)がある。

施術と経過

アレンテストで右橈骨動脈の拍動消失、また右母指内転筋力が左に比べて顕著に弱い。また座位での腰部傍脊柱筋の張りが左が強く右はほぼ弛緩状態。脊柱側弯症の既往はない。

胸郭出口症候群や尺骨神経の問題も視野に入れつつ、右手前腕と脊椎、肩甲骨まわりのツボを使って、鎖骨・肩甲骨の可動性改善と左右の脊柱起立筋をバランスを取ることとした。

施術直後は右手のしびれは消失し左手は若干残存。1か月後に別の症状で来院した際に左右ともにしびれが消失したことを確認した。

使用したツボ

霊道R、四瀆R、天髎R、C7夾脊R、腎兪

関連記事

>>オーボエ奏者の指のしびれ

来院者

女性 40代 フルート

期間

2018年11月

症状

アマチュアでフルートを演奏していて、左手親指が動かしづらく特にトリルで指が固まって動けなくなる。左手親指は他にも開きにくいなどの症状があり、テレビのリモコンやスマホの操作がやりづらい。

痛みやしびれもあり、病院で頚椎ヘルニア、手首TFCCの診断を受けている。右手も痛みやしびれがあるが、動かしにくくて困るのは主に左手。痛みは右肘が特に顕著。

また呼吸時に左肩甲骨下あたりが痛む。

施術と経過

試みにリモコンを左手で持って操作してもらうと、親指の第1関節が伸展、第3関節が動かないまま第2関節だけを動かしていた。他動的にそれぞれの関節を動かしてみると特に痛みなどはなく可動性にも問題は見られなかった。フルートの演奏でもその指の形は変わらず、トリルができない状態だった。

全身の動きに目を向けると特に鎖骨・肩甲骨が動いておらず、腕の動きとの協調をもっとよくする余地があるように見えたので、座位のまま左肩甲骨付近のツボに鍼をしたところ、直後から左手がぼうっと温かくなったとの感想。

再度フルートを吹いてもらうと、さっきできなかったトリルが問題なくできるようになった(ただし長く続けると少し動きが固まってくる感触あり)。親指の第1関節と第3関節も動きに参加し始めているのが見て取れた。

観察を踏まえて、鎖骨・肩甲骨を含めた上肢帯全体の動きを改善し、また全身にやや緊張気味だったのでテンションを落とす方向でのツボを選び、施術した。

施術後、左手親指の動きが改善し、右肘の痛みは肘下前腕の半分くらいまで感じていた痛みが肘までに後退した。

使用したツボ

天髎L、膈兪L、肩中兪R、厥陰兪R、身柱、神道

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>>背中のツボでフルートの左手親指のトリルを改善

来院者

女性 40代 ファゴット

期間

2017年2月

症状

2か月ほど前に狭いところで金管楽器のそばで演奏する仕事があり、以来、体調が悪くなると右耳の聞こえ方がおかしい。

まったく聞こえないということはないが、周囲が騒がしいところで会話する時に右では聞き取りにくい。

これにともなって、右の首の後ろから後頭部にかけても痛みがある。

施術と経過

触診してみると、右の肩や背中から首にかけて強い張りがあり、右足の土踏まずの内側にも強い圧痛をともなうコリがあった。

頭蓋骨と首の境目に沿ってコリを探りながら鍼をしていくと、膜が晴れるように耳閉感が取れ、聞こえ方も変わってきた。

同時に頭痛についてもだいぶ軽くなったとのコメントを得る。

その後、時間を置いて、聞こえ方は完全に回復したことを確認。

音を感じる聴覚器官は頭蓋骨の中に埋まっているが、頭や首の筋肉、鼻や喉の奥からは膜や耳管を介してつながっている。

そのため、頭や顔面、首で強い緊張状態が続くと、耳の内部の血液やリンパの流れ、圧力にも変化をもたらし、聞こえ方に影響を与えると考えられる。

疲れによる身体の緊張がとりわけ右側に強く表れ、右耳の聴力低下を招いていたと考えられるが、筋緊張を解く治療をすることで聞こえ方も回復した。

使用したツボ

C7夾脊、風池、天柱、完骨(R)、聴会(R)、公孫(R)

来院者

女性 40代 ファゴット

期間

2016年10月

症状

数週間前に右後頚部の筋肉が突然つった(きっかけとなった動作は覚えていない)。それ以降、朝起きる時に寝違えたような感覚が残り、右腕が常時なんとなくだるく、右手のキー操作がやりづらい状態が続いている。また、後頭部痛(右)がある。

施術と経過

バリトン・サックスやファゴットなど大型木管楽器は楽器を斜めにかまえるため左右のバランスがとりづらい。重さはストラップ経由で首にかかるが、楽器のかまえは右により重さがかかるため、右側の首から肩、腕にかけて緊張した状態になりやすい。さらに複雑なキー操作も要求される。

演奏動作でつちかわれた筋緊張は演奏を離れてもすぐには抜くことが難しい。筋緊張が慢性化すると血流に影響を及ぼしたり、神経を圧迫したりして、痛みやだるさといった症状を引き起こす。触診の結果からも、右側の肩甲挙筋、胸鎖乳突筋、斜角筋、前腕伸筋群等の緊張がみてとれた。

本来、重さは脊椎が担うことで腕はかまえの位置修正やキー操作に専念できた方が、より効率的な身体の使い方ができる。そのためには楽器の微妙な重心移動に対応できる脊椎の可動性(回旋の動きなど)を回復しつつ、脊椎から肩甲骨、腕に向かう筋肉のテンションを最適化する必要がある。

本症例では、胸鎖乳突筋、後頚部、肩甲間部を中心としてアプローチした結果、頭痛も腕のだるさも著しく軽減できた。

使用したツボ

天容R、風池R、天柱R、三陽絡R、膏肓、腎兪、T5夾脊、T7夾脊

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