東京都練馬区江古田駅/音楽家のための整体・鍼灸・アレクサンダー・テクニーク オーバーユース・腱鞘炎・首肩腕の痛みしびれ・腰痛

症例

症例24 斜め腰かけで右の腰からお尻にかけて痛み(クラリネット奏者)

女性 50代 2019年5月

症状:

主にバス・クラリネットを演奏する愛好家の方。1か月前から右側の腰からお尻にかけて痛みを感じるようになった。仕事で使っているパソコンの画面がレイアウトの関係で自分の正面になく、左右どちらかに置かれている。そのため椅子に斜めに腰掛けたり体をひねり気味にして長時間入力することがある。

また首から肩甲骨にかけてずっと慢性的な固さを感じている。

治療内容と考察:

背中を触診すると胸椎辺縁に顕著に硬結が認められた。またあおむけで膝を伸ばしたまま股関節から脚を上げてもらうと右の方が上がりづらく痛みがあった。

座骨神経痛を視野に入れつつもそれはむしろ二次的な症状であって、胸椎の動きを回復することがより根本の原因解決ととらえて施術を組み立てた。

脊椎の中でひねる動き(回旋)は頚椎と胸椎が主に担当しており、腰椎はこの動きは得意ではない。しかし首から肩甲骨にかけての慢性的な固さにより胸椎でのひねりが足りない分、本来不得意な動きを腰椎部分が頑張って対応した結果、症状としては座骨神経痛気味の腰痛としてあらわれたと考えた。

手と背中のツボで胸椎の動きを、ふくらはぎと臀部のツボで腰痛に対応し、腰痛は消失。

しかし、仙骨上部両側に痛みが移動したため、これはアレクサンダー・テクニークによる股関節の可動性促進で解決した。

使用した主なツボ:

後渓R、精霊R、T1夾脊L、T4夾脊R、L5夾脊L・R、飛揚L・R、環跳R

症例23 首肩から背中のこりと右薬指の不調(オーボエ奏者)

女性 30代 2019年1月

症状:

プロのオーボエ奏者の方。1年ほど前から右手薬指がからむ運指がやりづらくなり、薬指が上がらずにミストーンになることもある。

また首肩から背中にかけて慢性的にひどいこりがあり、現在は治っているが小児喘息をやったことがある。

治療内容と考察:

オーボエを構えて実際に右薬指がからむ音形を演奏してもらうと、確かに薬指だけが伸展した状態で動かしにくそうになっていた。腕の構造全体の中で末端の指が動かしにくい時は、指より体幹側の手首、肘、肩、肩甲骨そして胸椎がどう動くと良いか考えると解決につながることが多い。

そこで肘、肩甲骨、脊椎及び脊椎の動きと関係する足のツボを使って調整。

施術後、首肩から背中の慢性的なこりが軽くなり、再度演奏してもらうと薬指がより上がるようになった。鍼をする前は肩を回すとゴリゴリとしていたのがなくなりかなり楽になったとの感想をいただく。

続けてアレクサンダー・テクニークを使って前腕の回内・回外の動きでさらに微妙な手首の角度調整を行った。

3か月ほど継続して来院いただき、4回目でほぼ気にならないレベルまで動きが良くなったので終了とした。

指の不調はすべて首肩こりから来ている、あるいは首肩こりがあると必ず指の不調を招くというほど単純ではないが、本来動けるところを固めたままやり続けることで高い巧緻性を要する動作ほどやりづらくなる。一般的日常動作ではそこまでの巧緻性が要求されず単なる首肩こりで済むものが、演奏家の場合には演奏できるかできないかといった白黒つきやすい形で症状があらわれるように思う。

使用した主なツボ:

C7夾脊L、T5夾脊L、陽池L・R、肩外兪L・R、申脈L・R

症例22 ホルン奏者のふるえ

男性 40代 2019年1月

症状:

愛好家のホルン奏者の方。

学生時代から音域によってふるえる傾向があったが、数年前から気になり始め、ウォームアップや長い休みの後の弱音で症状が顕著になった。ふるえるのは首やあごで、ふるえないように力で抑えると首の後ろがかたくなり、肩周りの緊張や慢性的コリにつながっている。

治療内容と考察:

演奏を聴いてみると音自体はふるえていない。しかし、表情筋の使われ方を見るともっと働いても良さそうな筋肉があるように見受けられた(ただしアンブシュアを作る表情筋のバランスは個人差が大きいのでこの時点では必ずしも確証なし)。

施術は表情筋の動きを促すことと首や肩周りの緊張、コリに対処することとした。

施術後、再度演奏してもらうと明らかにふるえは軽減し、本人からも「コントロールが効く感じになった。」との感想を得た。

「ふるえ」が楽器演奏などの特定シーンでのみ起こる場合は、働くべきところが適切に働いていないこととそれを補うために働くべきでないところが過剰に働いていることがよく見られる(必ずしもこうでないケースもまた多いが)。

この時は表情筋の代わりを首やあごがしていて、それがふるえとなって表れていると考え、表情筋に低周波パルス(鍼を通じて微弱な電流を筋肉に流す方法)をかけた。電気刺激を与えることで神経の反応性に働きかけるのが目的である。「コントロールが効く感じ」というのは表情筋がより働きやすくなったことを示唆していると考えられ、これにより首やあごで補う必要がなくなり、ふるえが軽減したと考える。

しかし本来働くべきところやそれを補う動きは一概にどちらがどちらと特定するのが難しいので、ケースバイケースで慎重に見極める必要がある。

使用した主なツボ:

地倉L・R、下関L・R、T3夾脊L、T5夾脊L、肩外兪L・R、陽陵泉L

症例21 トロンボーンを持ち上げる時の腕の痛みを解消したら息もしやすくなった

男性 50代 2019年5月

症状:

トロンボーン演奏を職業にしている男性。

健康管理のためにジム通いしていたが4か月前にダンベルで右腕に痛みを生じた。その後、動かすと痛いのでジム通いを休んでいる。

前腕回外してひねると、前腕前面の上半分と肩の後面が痛む。この動作はちょうどトロンボーンを吹くために持ち上げる時と同じで、仕事で楽器を吹く際もいつも気になっている。

また喘息の既往あり。

治療内容と考察:

喘息の既往があることから上部胸椎を触診すると何か所か硬結が認められた。

頚椎から胸椎にかけての動き、首から肩へとつながる筋肉の張りをみて、それらの動きを改善するツボを使用。右の項強に鍼をした直後に前腕にあった痛みが上腕に移動、拡散したので、他のツボも使いつつ残った痛みに対応。

施術後、やや重だるさは残ったものの痛みは軽減。後日「あの後、吹いた時は息がとてもしやすかった。」とメッセージをいただく。

喘息の経験者は咳発作の動作から上部胸椎にその名残が残ってしまう方が多い。上部胸椎は肩甲骨を介して腕の動きと密接な関係があるため、胸椎が動かないことで腕に必要以上の負担をかけてしまうことがある。胸椎は肺を納める胸郭の一部でもあるので、当然、肋骨などの動きも改善し呼吸がしやすいという副産物的効果も得られたと考える。

使用した主なツボ:

項強R、肘髎R、臂臑R、T1夾脊L、T3夾脊R

症例20 腕立てがきっかけになった肩関節痛(チューバ奏者)

男性 20代 2019年2月

症状:

仕事でチューバとスーザフォンを演奏している。

体力づくりのために筋トレしていて1週間前に腕立てで腕を伸ばした際に右肩をいためた。

もともと慢性的首肩こりがありかなりひどい自覚がある。また、このところスーザフォンを吹く機会が多く、楽器を肩に載せる関係で左肩がガチガチに固まり、何もしていない時も左肩が上がっていることに気づく。

喘息の既往あり。

治療内容と考察:

触診をして痛いのは右肩の巨骨(ここつ)というツボのあたりと確認。

また喘息の既往があることから上部胸椎に沿って触れてみると脊椎近辺の筋肉に顕著に硬さを認めた。

右肩に炎症が起こっているとして、炎症そのものを鍼灸で即座におさめることはできないが、腕の動きと関連する肩以外の関節の動きを現状より改善することで症状を小さくすることは可能と考え、主に側頚部の動き、上部胸椎、肩甲骨の可動性に関わるツボを選んで施術した。

2週間後に別症状で来院した時に症状が寛解したことを確認。

使用した主なツボ:

合谷R、大椎、身柱、神道、L3夾脊

症例19 突発性難聴の後に残った耳鳴り(クラリネット奏者)

男性 40代 2018年4月

症状:

趣味でクラリネットを演奏する愛好家。

2か月前に左耳突発性難聴を発症して耳鼻科で治療している。聴力自体は回復してきているが、聞こえ方に違和感が残っている。

違和感は、膜が張ったような感じがしてドレミでいう「シ」の音程でシャーという音がずっと聞こえている状況。「シ」の音程で自分が口笛を吹いたり周囲が騒がしいと左耳がわんわんと反響する。アマオケの合奏練習では左側からの音が聞こえづらく合わせるのが難しい。また日常生活では高い音が聞こえづらい。

プレドニン、イソソルビド、アデホスを服用している。

治療内容と考察:

触診すると左手小指の付け根と手の甲にあるツボに顕著な硬さが認められた。また左耳の後ろにグミのような硬さのふくらみを触れた。小指の付け根のツボに鍼をしたところ、左耳がスッと晴れた感じがしたとの感想。同時に左耳後ろのふくらみがやわらいだ。

その他、全身に緊張気味で脊椎の両脇や足の両側面がかたく張ったようになっていたので背中や足のツボを使ってバランスをとった。

回を重ねるにつれて左耳に膜が張ったような感じはうすらいでいき、わんわんと反響することもなくなっていった。5回目の時にアマオケの合奏練習で聞こえ方がかなりクリアになったことが確認できたのでそこで終了とした。

使用した主なツボ:

後渓L、中渚L、翳風L、C7夾脊L、T4夾脊L、陽陵泉L・R、飛揚L・R

症例18 緊張時の背中の張りと右肩のしびれ(トランペット奏者)

男性 20代 2019年4月

症状:

フリーランスのトランペット奏者。

緊張すると腰が反って背中が張り疲れる(ただし腰痛には至らない)。その状態で吹き続けることでブレスや音にも影響が出ると考えており改善したい。

また右肩に時折しびれが出る。

治療内容と考察:

実際に楽器を吹いてもらったところ、腰が反り気味で胸郭を後ろに倒し肩甲骨を後ろに引き気味にしていた。

肩甲骨が後ろに引かれると鎖骨と上部肋骨の間がせばまり、腕に行く神経を圧迫しやすい。

背中、特に腰部の緊張を取り、胸椎と肩甲骨の動きをうながすツボを中心に施術してからあらためて吹いてもらうと呼吸がスムーズになったとの感想を得た。

あわせて、アレクサンダー・テクニークのアドバイスで腰部を意図的に屈曲し本人の感覚的には猫背に思えるくらいの姿勢をうながしたら腕がさらに楽になり、肋骨が活発に動き出したことが自覚できた。

体は全身がつながりながら動いている。今回のケースでは腰が反ることと呼吸や右肩のしびれをひとつながりの問題として捉えることができた。鍼灸とアレクサンダー・テクニークを合わせることで背中の張りを解消し、腕が自由に動かせて、呼吸も楽になることにつながった。

使用した主なツボ:

合谷R、尺沢R、T3夾脊L、筋縮、大腸兪L・R、合陽L、飛揚L・R

症例17 本番の緊張からきた腰痛(トランペット奏者)

男性 20代 2019年4月

症状:

音大卒業してフリーランスで活動するトランペット奏者の方。

数か月前に急きょプロオーケストラの本番にエキストラで入った。数日で準備してGP、本番に対応しなければならず極度の緊張から腰が痛くなった。

その後も楽器を構えて吹いていると腰が重くなる感じがある。

演奏時に反り腰になる癖を自覚していて、腰だけでなく背中にも違和感を感じる。

治療内容と考察:

背中の違和感は呼吸と密接にかかわる。トランペット奏者への施術という意味で呼吸まで見据えた組み立てを考えた。

なぜなら腰が痛むとそれより上の脊椎の動きが制限されて、背中の違和感につながることが多いからである。逆に首や腕や肩から背中の違和感を生じている可能性もあり施術の中でこの線も確認するようにした。

まず腰痛について、触診すると腰痛と関係の深いふくらはぎのツボに反応が見られた。さらに首の動きにも若干の制限を認めたのでこれを改善する手のツボに鍼をし、最終的に脊椎のツボをつかって背中の違和感の現場にも対応した。

施術後、腰の重い感じが消え、声が出しやすくなったとの感想を得た。

呼吸が改善すると声が変わるので、楽器がなくても便宜的に確認ができる。

使用した主なツボ:

合谷、T3夾脊L、T5夾脊L、飛揚L・R

症例16 ヴァイオリニストの手の腱鞘炎

女性 30代 2019年4月

症状:

プロとして活動するヴァイオリニストの方。

数年前から左右ともに手首と指が痛むようになり、ヴァイオリンを弾くと症状が悪化するので練習時間をセーブしている。

病院では腱鞘炎・関節炎と診断され、耐えられない時は注射で緩和したりセレコックス(消炎・鎮痛剤)を服用して対処している。

他に痛みを感じるほどの首肩こり、腰痛がある。

治療内容と考察:

頚椎を含めて脊椎の近接部位に痛みがあり、触診すると傍脊柱筋の緊張度が高いように見受けられた。また上腕二頭筋や前腕の屈筋、伸筋群も強い張りが認められた。

全身にテンションを少しゆるめるようなツボの選択をするが、手首や指との関連では特に肩甲骨と胸椎のツボを使うこととした。

施術後、首の痛みが消えて上を見上げる動作が楽にできるようになった(術前は痛みで困難だったとの話)。

また手首の痛みも消失。ただし、肩甲間部の痛みが少し残ったのと前腕部が重だるい感じになり今後の課題となった。

使用した主なツボ:

尺沢R、孔最R、C5夾脊L・R、T3夾脊L、T5夾脊L、天髎L・R、膏肓L・R、委中R、飛揚L・R

症例15 歌手の声枯れに臂臑(ひじゅ)のツボに灸

女性 20代 2019年5月

症状:

J-POPやロックを中心に活動中の歌手の方。

連日ライブ活動で喉を酷使したせいか3日くらい前から地声と裏声が切り替わる音域で声がかすれる。特に裏声が出しづらく音程を当てるのが困難。数年前に声帯結節の既往あり。また花粉症のため夜寝る時に口呼吸になっていることがある。

翌日にも仕事で歌うためできる限り状態を良くしておきたいので来院。

治療内容と考察:

喉まわりを触診したところ若干の熱感があり、胸鎖乳突筋、舌骨や喉頭とつながる筋肉に緊張を認めた。また後頚部にも緊張があった。熱感を生んでいるであろう炎症はすぐには変化させられないが、喉まわりの筋肉の緊張を解除できれば声の出しやすさが変わる可能性があり、治癒の促進にもつながると考えた。また胸椎のツボにも硬結があり肋骨の動きに制約を生じていて呼吸をさまたげていると推測。声帯をどれだけ閉めても息の流れがなければ声は出ない。現在の声帯の状態に合った息を供給できるよう胸郭の動きの自由度が必要と考えた。

謡人結節で有名な肩のツボと喉まわりをゆるめる手のツボ、肋骨の動きを改善する脊椎のツボを中心に施術。

施術後「声が出しやすい」との本人の感想を得た。少し話してもらって声のかすれ度合いが減ったことを確認。

またアレクサンダー・テクニークのハンズ・オンで頚椎の上で頭蓋骨がバランスよく載っていて、頭の重さを支えるために過度に喉まわりの筋肉を使わなくても良い状態を確認。歌のない合間に少しでも喉の負担を軽くできるようアレクサンダー・テクニークを1人でできるエクササイズを伝えた。

使用した主なツボ:

臂臑L・R(灸)、合谷R、後渓L・R、C7夾脊L、T4夾脊L、T7夾脊R、膈兪R

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症例14 オーボエ奏者の指のしびれ

女性 20代 2018年7月

症状:

音大で専門的に学ぶオーボエ奏者の方。2週間ほど前から右手がしびれ、数日前からは左手もしびれ始めたことから危機感をもって来院。整形外科も受診していて服薬治療中。右手がしびれ始めた時期はコンクールの準備で根を詰めて練習していた。

他に頭痛、肩こり、目のかすみ、たまに腰痛(左)がある。

治療内容と考察:

アレンテストで右橈骨動脈の拍動消失、また右母指内転筋力が左に比べて顕著に弱い。また座位での腰部傍脊柱筋の張りが左が強く右はほぼ弛緩状態。脊柱側弯症の既往はない。

胸郭出口症候群や尺骨神経の問題も視野に入れつつ、右手前腕と脊椎、肩甲骨まわりのツボを使って、鎖骨・肩甲骨の可動性改善と左右の脊柱起立筋をバランスを取ることとした。

施術直後は右手のしびれは消失し左手は若干残存。1か月後に別の症状で来院した際に左右ともにしびれが消失したことを確認した。

使用した主なツボ:

霊道R、四瀆R、天髎R、C7夾脊R、腎兪

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症例13 フルート奏者の左親指の動きを改善

女性 40代 2018年11月

症状:

アマチュアでフルートを演奏していて、左手親指が動かしづらく特にトリルで指が固まって動けなくなる。左手親指は他にも開きにくいなどの症状があり、テレビのリモコンやスマホの操作がやりづらい。

痛みやしびれもあり、病院で頚椎ヘルニア、手首TFCCの診断を受けている。右手も痛みやしびれがあるが、動かしにくくて困るのは主に左手。痛みは右肘が特に顕著。

また呼吸時に左肩甲骨下あたりが痛む。

治療内容と考察:

試みにリモコンを左手で持って操作してもらうと、親指の第1関節が伸展、第3関節が動かないまま第2関節だけを動かしていた。他動的にそれぞれの関節を動かしてみると特に痛みなどはなく可動性にも問題は見られなかった。フルートの演奏でもその指の形は変わらず、トリルができない状態だった。

全身の動きに目を向けると特に鎖骨・肩甲骨が動いておらず、腕の動きとの協調をもっとよくする余地があるように見えたので、座位のまま左肩甲骨付近のツボに鍼をしたところ、直後から左手がぼうっと温かくなったとの感想。

再度フルートを吹いてもらうと、さっきできなかったトリルが問題なくできるようになった(ただし長く続けると少し動きが固まってくる感触あり)。親指の第1関節と第3関節も動きに参加し始めているのが見て取れた。

観察を踏まえて、鎖骨・肩甲骨を含めた上肢帯全体の動きを改善し、また全身にやや緊張気味だったのでテンションを落とす方向でのツボを選び、施術した。

施術後、左手親指の動きが改善し、右肘の痛みは肘下前腕の半分くらいまで感じていた痛みが肘までに後退した。

使用した主なツボ:

天髎L、膈兪L、肩中兪R、厥陰兪R、身柱、神道

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>>背中のツボでフルートの左手親指のトリルを改善

症例12 Tuba奏者のアンブシュア不調

男性 30代 2019年5月

症状:

1年ほど前に慣れない楽器(人から借りたもの)を使って周囲が大音量の中、自分も無理して大きな音を出さなければならない現場があって以来、唇まわりに違和感を生じるようになった。具体的には第4倍音(B♭)から第6倍音(F)あたりのやや高めの音域で音が安定しない。それよりも低い音域と高い音域では特に問題を感じていない。

治療内容と考察:

演奏を見ると特に問題の音域で頬がピクピクとふるえてしまっていた。ふるえが起こるエリアはちょうど口角を引き上げる作用の筋肉があるところだった。触診すると頬骨の下あたりの筋肉がかなり固く硬結を認めた。

演奏に必要な表情筋の作用がうまく働いていないと考えて、該当の表情筋をゆるめ、かつ反応性を高めれば良いと考えた。

施術後、再度吹いてもらうとアンブシュアが安定し「だいぶいい」との感想を得た。

調子を取り戻すための練習方法として、金管楽器の演奏に必要な要素(アンブシュア、表情筋、息:吐く筋肉と吸う筋肉のバランス)をおさらいし、それぞれ1つずつ変化させながら音との関係性を再構築することを提案した。特に息については楽器を吹くために吐くことしか考えていなかったとのことだったので、いわゆる呼気時の吸気的傾向(息を吐きながら吸うための筋肉も働かせ続ける奏法)のやり方を具体的におさらいした。

使用した主なツボ:

四白L・R、大迎L・R

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症例11 ピアニストの腱鞘炎

男性 20代 2017年9月

症状:

左手に負担がかかるプログラムの準備をしていて、左の指が動かしづらくなってきた。

特に、親指が内転したまま開けなくなることがたまに起こるようになった。

整形外科では腱鞘炎と診断され、薬も処方されたが、早く改善したいので来院した。

治療内容と考察:

左肩に著明な硬結があり、左腰部にも強い張りがあった。

また、前腕の伸筋も強く張っている。

左手にかたよった使い方をしていたために、全身の筋トーンがバランスを崩してしまった状態と考えられた。

筋肉はある一定の限度を超えて使うと、疲労がたまってそれ以上動かせなくなる。

筋トーンのバランスがかたよった状態でさらに左手を使い続けると、通常以上に早く疲労し、ある一定の限度も早く訪れる。

今回は、それが左の親指に表れたものと想定した。

まず、全身の代謝をよくするために、伝統的な鍼灸の証にしたがってツボを使った。

次に、アレクサンダー・テクニークのテーブル・ワーク的な手技を用いて、全身の筋トーンのバランスを調整した。

施術後に、実際のピアノの動きを模して5分ほど左手を動かしてもらったが、親指が内転したまま開けなくなる症状は現れなくなった。

弾きながら、筋トーンのバランスの崩れに気づいてうまく散らせられるようになると、もっと長時間の演奏にも耐えられ、故障しにくくなると思われる。

使用した主なツボ:

中脘、天枢、関元、肝兪、腎兪、曲池

症例10 マッサージ師の腰痛

男性 30代 2017年4月

症状:

毎日、仕事で長時間マッサージをしている。

最近は疲労がたまりやすく、以前からもっている腰痛や肩こりが取れなくなってきた。

治療内容と考察:

腰の筋肉が強く張っていて、足の内くるぶしの前下あたりも硬く張っていた。

疲れがたまっていることから、全身の代謝をよくして疲労物質も早く抜けるよう、伝統的な鍼灸の証にしたがうツボを使った。

あわせて、特に足について、アレクサンダー・テクニークのテーブル・ワーク的な手技を用いて、関節のところの力みが抜けるように動かしてリラックスしてもらった。

腰痛の原因は、足から来ていることが多い。

多くは、足の筋肉の力みが取れないままに歩いたりすることで、上半身が無理な体勢となり、腰痛となって表れる。

施術中に眠りに落ちてしまうくらいリラックスして、足の力も抜けた。

もともと少しきつめであった腰椎の前弯が、施術後はやわらいで、腰痛も軽くなった。

使用した主なツボ:

復溜、尺沢、太渓、肺兪、腎兪、Th1夾脊

症例9 左薬指・小指の急性のしびれ

女性 30代 2017年9月

症状:

前日に、床に拡げた紙に書く作業を3時間ほどしていた。

長時間、左手で体を支えて下向きの姿勢でいたせいか、左薬指と小指にしびれが出た。

もともと慢性的に肩こりがある。

治療内容と考察:

首から肩背部、腰部にかけて強い張りがあり、また、膝から下の外側面も強く張っていた。

長時間下向きの姿勢で作業したことで、頚椎から胸椎にかけてこり固まってしまい、この固めがあるために腕の力が抜け切らない状態になっていると考えられた。

まず、肩周りから腕にかけての力みを抜くために、アレクサンダー・テクニークのテーブル・ワーク的な手技を行う。

それでも取れない首から肩背部のコリについて、頚椎から胸椎にかけての動きを良くすることで改善できると考えて、対応するツボにアプローチした。

結果として、左手のしびれも消失した。

使用した主なツボ:

C7夾脊

症例8 ヴィオラ奏者の左肩の頑固なコリ

女性 40代 2017年8月

症状:

ずっと以前から演奏にともなう首・肩のコリや痛みには悩まされていた。

整体やマッサージでも取り切れないことがあり、今回は鍼灸を試してみようと思い来院。

治療内容と考察:

肘から親指にかけて、また、首から肩背部、腰部にかけて強い張りがある。

特に左の肩甲骨の上と腰に著明な硬結があった。

ヴァイオリンやヴィオラでは、楽器を支えるために胸椎を固定して腕を動かすことが多く、そのために首や肩など他の部位に負担がかかる。

まず、脊椎の回旋の可動性を回復し、次に、それでも残っている局所の硬結にアプローチした。

使用した主なツボ:

大椎、Th5夾脊、腎兪(L)、肩井(L)

症例7 逆子の治療

女性 30代 2017年3月

症状:

妊娠31週目。

10日ほど前の検診で逆子が分かり、医師から鍼灸を勧められて来院。

治療内容と考察:

肘から肩にかけての動きにやや固さがあり、足先に冷えがあった。

胴体上部にかけての筋・筋膜系の緊張が腹部に反映し、子宮内で赤ちゃんが動きづらい状況を作ってしまっていると考えられた。

まず、アレクサンダー・テクニークのテーブル・ワーク的な手技を用いて腕から肩にかけての力みを抜き、リラックスしてもらった。

次に、冷えのある足元に血流を呼ぶために至陰、三陰交に灸を、太衝には鍼をした。

結果として、腸骨動脈の血流配分、大腰筋などの緊張度が調整されて、子宮内のテンションが下がり、赤ちゃんが動きやすい環境ができれば逆子は直るとの考え方である。

治療中、お腹の中でぐりんと動いたとの感覚があったとのこと。

治療から1週間後の産科検診でエコーをとったところ、逆子が直っていたことが確認できた。

使用した主なツボ:

至陰、三陰交、太衝

症例6 マウス・クリックによる首・肩の痛み

男性 20代 2017年4月

症状:

仕事柄、パソコン作業が多い。

2台のモニターを見ながら、1日中マウスでクリック動作を繰り返していて、斜めの姿勢になることから首から肩にかけて慢性的にコリや痛みがある。

ひどい時は、左側の腰にも痛みが出て、いすから立ち上がると左ももの裏にしびれが走ってしばらく動けない。

治療内容と考察:

首から肩、腰部にかけて非常に強い張りがあり、上腕二頭筋も硬さが抜けない状態にあった。

また、臀部に圧痛があり、もも裏も張っていて、硬いコリがある。

もともと学生時代からスポーツをしていたということで、発達した良い筋肉をしているが、仕事で動かない生活になったために姿勢維持のために骨格を柔らかく使うやり方を体が忘れてしまったように見受けられた。

いすに座っての姿勢維持には脊椎の動きが重要で、仕事の上でモニターと斜めの角度で座ろうとしたら特に回旋がうまく使える必要がある。

回旋の動きは頚椎から胸椎がメインだが、第1、第2胸椎のあたりで動きがやや少なく、かつ硬結があった。

鍼でこの硬結にアプローチしたところ、ものすごく首が軽くなったとのコメントがあった。

マウス操作(あるいはキーボード作業も同様だが)では、机の上でわずかに腕を浮かせている必要がある。

そのため、上腕二頭筋などの腕の筋肉が疲労して、支えきれなくなると、より体幹の肩甲間部を寄せて背中側で腕を支えようとする。

この影響が脊椎の回旋を制限していたために、斜めの姿勢に無理がかかり、首・肩の痛みとして表れていたと考える。

治療で回旋制限を解除すると、体が本来の動きを取り戻して、とたんに痛みも取れたのだろう。

使用した主なツボ:

陶道

症例5 背中の湿疹

男性 30代 2016年11月

症状:

学生時代から背中に湿疹ができ始めて、だんだん悪化してきている。

ストレスと関係して、食事や睡眠など生活が不規則になると分かりやすく広がってきて、頭やおでこまで達することもある。

ステロイド剤がよく効いていて、塗るとおさまるが、量が次第に増えているのが気になっていて鍼灸を受診した。

治療内容と考察:

背中一面に熱感がこもっており、ただし、そのわりにお腹の中や足は冷えていた。

根底に体質的な問題がからんでいると考えて、古典的なツボを使って局所にとどまっている熱と冷えがうまく循環するようにした。

合わせて、アレクサンダー・テクニークのテーブル・ワーク的な手技を行って、手足の関節の動きも調整した。

途中から爆睡してしまい(本人いわく、外で寝落ちするのは本当に珍しいとのこと)、目覚めると、治療前は冷えていた足に温かさが戻ってきて、背中の掻痒感や熱感もだいぶおさまったとのコメントを得る。

ストレスによる緊張状態が続いて、体温、血流、代謝産物などもろもろの流れが滞っていたのを、鍼と手技で流れやすくすることで症状が改善した例と考える。

使用した主なツボ:

太白、太淵、肺兪、脾兪

症例4 風邪による声枯れ

女性 40代 2017年6月

症状:

1週間前に風邪をひいた。

熱はなかったが、症状が喉に出てかなり痰がからんだ。

処方薬でかなり症状は軽くなったが、声が出しづらい状況が続いている。

治療内容と考察:

左の脊柱起立筋から首にかけて強い張りがあり、また、左顎関節下にコリがあった。

これと裏腹に右のふくらはぎに硬いコリもあり、喉周りは両方の胸鎖乳突筋や舌骨筋群がやや緊張気味。

風邪がきっかけということで、まずは体をじゅうぶんに温めて体力の回復を促し、合わせて声帯に負担をかけている筋・筋膜系のテンションを調整する治療をした。

また、頭と首・喉の位置関係がより負担のないところに自動的に調整されるよう、脊椎の柔軟な動きを回復する治療をした。

風邪については、既に回復基調だったこともあずかって、1週間をおいて2回の治療で声の調子がおおむね回復し治療終了とした。

使用した主なツボ:

Th4夾脊、瘂門、天柱、翳風、天突、傍廉泉、承筋(R)

症例3 頭痛をともなう突発的な聴力の低下

女性 40代 2017年2月

症状:

2か月ほど前に狭いところで金管楽器のそばで演奏する仕事があり、以来、体調が悪くなると右耳の聞こえ方がおかしい。

まったく聞こえないということはないが、周囲が騒がしいところで会話する時に右では聞き取りにくい。

これにともなって、右の首の後ろから後頭部にかけても痛みがある。

治療内容と考察:

触診してみると、右の肩や背中から首にかけて強い張りがあり、右足の土踏まずの内側にも強い圧痛をともなうコリがあった。

頭蓋骨と首の境目に沿ってコリを探りながら鍼をしていくと、膜が晴れるように耳閉感が取れ、聞こえ方も変わってきた。

同時に頭痛についてもだいぶ軽くなったとのコメントを得る。

その後、時間を置いて、聞こえ方は完全に回復したことを確認。

音を感じる聴覚器官は頭蓋骨の中に埋まっているが、頭や首の筋肉、鼻や喉の奥からは膜や耳管を介してつながっている。

そのため、頭や顔面、首で強い緊張状態が続くと、耳の内部の血液やリンパの流れ、圧力にも変化をもたらし、聞こえ方に影響を与えると考えられる。

疲れによる身体の緊張がとりわけ右側に強く表れ、右耳の聴力低下を招いていたと考えられるが、筋緊張を解く治療をすることで聞こえ方も回復した。

使用した主なツボ:

C7夾脊、風池、天柱、完骨(R)、聴会(R)、公孫(R)

症例2 トランペット奏者の肩の痛み

男性 30代 トランペット奏者 2016年12月

症状:

数か月前から右肩に違和感があり、右腕を上げづらい状態が続いている。胸鎖関節にごりごりとした違和感があり、ひどい時には腕を肩の高さくらいまでしか上げられず無理に上げようとすると痛む。楽器の構えにも影響があり、左右で高さがずれるので右を肩ごと引き上げるなどして対応しているが、リハーサルが長時間になると背中から腰、ひどいと足にまで痛みが出る。

治療内容と考察:

来院した時点で比較的自由に腕を上げられる状態で(耳の付近まで上げられる)、肩甲上腕関節周囲の痛み、腫れや熱感もなかったため、いわゆる五十肩の可能性は暫定的に除外。そのうえで、楽器をかまえる体勢をとってもらったところ、やはり右肩を上げて左右のバランスを取ろうとする動きが見て取れた。

おそらくであるが、何らかの原因により数か月前に右の胸鎖関節に痛みを生じたのが始まりで、その痛みが出ないようにする代償動作を取るようになった。しばらくそうした動きを継続すると体は自然にその動作を覚えてしまう。ある程度痛みがおさまってその必要性がうすれても代償動作を取り続けてしまうことはよくあり、現在の背中、腰や足の痛みは代償動作によりかえって体を固めてしまった結果の可能性がある。

以上のように考えて、痛みを生じないよう細心の注意をはらいながら繊細に他動運動を行うことで現在の腕の可動性を再認識してもらい、鍼では脊椎と腰部へアプローチして筋肉のこりを解消するよう努めた。

治療後、再度楽器をかまえる動きをとってもらったところ、左右の高さがそろい無理に右肩を上げる動きはなくなった。

使用した主なツボ:

肝兪、腎兪、C7夾脊

症例1 大型木管奏者の頭痛と腕のだるさ

女性 40代 木管楽器 2016年10月
症状:

数週間前に右後頚部の筋肉が突然つった(きっかけとなった動作は覚えていない)。それ以降、朝起きる時に寝違えたような感覚が残り、右腕が常時なんとなくだるく、右手のキー操作がやりづらい状態が続いている。また、後頭部痛(右)がある。

治療内容と考察:

バリトン・サックスやファゴットなど大型木管楽器は楽器を斜めにかまえるため左右のバランスがとりづらい。重さはストラップ経由で首にかかるが、楽器のかまえは右により重さがかかるため、右側の首から肩、腕にかけて緊張した状態になりやすい。さらに複雑なキー操作も要求される。

演奏動作でつちかわれた筋緊張は演奏を離れてもすぐには抜くことが難しい。筋緊張が慢性化すると血流に影響を及ぼしたり、神経を圧迫したりして、痛みやだるさといった症状を引き起こす。触診の結果からも、右側の肩甲挙筋、胸鎖乳突筋、斜角筋、前腕伸筋群等の緊張がみてとれた。

本来、重さは脊椎が担うことで腕はかまえの位置修正やキー操作に専念できた方が、より効率的な身体の使い方ができる。そのためには楽器の微妙な重心移動に対応できる脊椎の可動性(回旋の動きなど)を回復しつつ、脊椎から肩甲骨、腕に向かう筋肉のテンションを最適化する必要がある。

本症例では、胸鎖乳突筋、後頚部、肩甲間部を中心としてアプローチした結果、頭痛も腕のだるさも著しく軽減できた。

使用した主なツボ:

天容R、風池R、天柱R、三陽絡R、膏肓、腎兪、T5夾脊、T7夾脊

 

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