東京都練馬区の音楽家のための鍼灸とアレクサンダー・テクニーク

鍼灸とアレクサンダー・テクニークの役割分担

" ディストニア "

2020年7月21日

吹き始めに口元から息が漏れてしまうクラリネット奏者の方。

 

以前、アンブシュア・ディストニアと言われたことがあるそうです。

 

実際に吹いてもらうと確かに音が鳴る前に息が漏れてしまい、思ったタイミングで発音していませんでした。

 

一方で全然鳴らないのではなくどうにかしてアンブシュアがいいところに落ち着くと、あとは息漏れもなく安定していい音で鳴らせます。

 

(ということは筋力とか、表情筋が一部麻痺してるとかではなさそうだな)と考えます。

 

もう1つ気になったのはブレスの際にあまり肋骨が動いていないことでした。

 

(アンブシュアで起こっていることに息が関係しているかも知れない)と思いました。

 

検証するには息が絶対に足りている状況で吹いてもらう必要があります。

 

そんなとき僕が参考にしているのは、サックス奏者川嶋哲郎さんのこちらの考え方です。

 

 

肺の容量いっぱいまで息を吸うと、あとは勝手に息が出ていこうとします。

 

吐くのに力がいらなくなるのですね。

 

ただしいきなりこれをやると息を吸ったとき背中の筋肉をいためるリスクがあり、そういうとき鍼は便利です。

 

あらかじめ背中の緊張を取っておいて、肋骨を動きやすくします。

 

肘と膝のツボに鍼をして背中の緊張をゆるめました。

 

もう1度楽器に戻り、今度はフルブレスしてから吹いてもらいます。

 

音量は上がりましたがアンブシュアはさほど変化せず。

 

やはりどうにかしてアンブシュアがいいところに落ち着くと、あとは息漏れもなく安定していい音で鳴らせています。

 

ということはアンブシュアができるタイミングの問題だと解釈しました。

 

そこでおすすめしたのは鳴り始めたあとのアンブシュアでやっていることの観察です。

 

現に音が鳴っている以上、やるべきことはすでにそこにあるわけです。

 

あとは吹き始めのタイミングでそれができるかどうか。

 

もっとも、厳密に言うと発音時の方がそのあとの持続音より高い気圧が必要なので、少し誇張してやらないといけないと思われますが(詳しくは ≫ サックスの自動演奏ロボットから分かること)。

 

このときは自分がすでにできていることに目を向けてその情報をもっと活用できたらと考えました。

 

鍼は本人の意思と関係なくインスタントに体の状態を変えるのが得意です。

 

でもディストニアの改善にはどうしても本人が自分でやっていることを変えていく必要が出てきます。

 

症状が出ないように奏法を見直すとか、症状を引き起こすきっかけを回避するやり方とか、そういうのは鍼だけではちょっと難しいんですね。

 

でも鍼を使って緊張をゆるめたり可動性を良くしておけば、ふだんよりも少し良い状態からスタートできます。

 

その結果、自分一人でやるより改善した状態を体感でき、そこからまた良いフィードバックが得られます。

 

鍼灸は体の初期条件を良くします。

 

アレクサンダー・テクニークでは奏法の見直しや症状のきっかけを回避する考え方、自己観察の目の置きどころなどにつき提案します。

 

僕のところではこんなふうに音楽家の不調からの回復をお手伝いしています。

この記事を書いた人

2016年、東京練馬区の江古田にてbodytune鍼灸マッサージ院を開業。

鍼灸師、マッサージ師。アレクサンダー・テクニーク教師。

 

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