東京都練馬区の音楽家のための鍼灸とアレクサンダー・テクニーク

すでにできていることを活用する

" ディストニア "

2020年7月22日

アンブシュアの不調により中低音域の発音とタンギングが困難なチューバ奏者の方。

 

病院ではアンブシュア・ディストニア疑いと言われたそうです。

 

去年の秋から月に1回くらいで定期的に来院されています。

 

ヘ音第1線上のGから下が課題の音域です。

 

来院当初はタンギング無しとか上からスラーでつなげるなら、なんとか鳴らせるという状況でした。

 

それから1年弱かかって音が鳴る鳴らない問題はすでにクリアされています。

 

そこでこの日はタンギングありでの発音を課題としました。

 

タンギングして発音しようとするとアパチュアが勝手にゆるんでしまうとのこと。

 

いちおう息の問題を除外するために、ふくらはぎのツボに鍼をして背中の緊張を取りました。

 

再度楽器に戻ってもらって同じことを吹いてもらいます。

 

音量が増してアンブシュアのコントロールも改善しますが、依然としてタンギングでは発音困難になります。

 

ただし一度音が鳴り始めてしまえばそのあとのタンギングではあまり問題は生じません。

 

ということは唇の振動なしからありに変わるときにタンギングなしありでは別なことをしていると推測します。

 

観察して分かったのは舌の動きとともに下顎が動いていたこと。

 

アパチュアが勝手にゆるむ感じがしたのはそのためと思われました。

 

金管楽器で音を鳴らすためには上下の唇を閉じ合わせてから息を吐く必要があります(≫ バジル・クリッツァーのブログ「アンブシュア形成における「口を閉じる」ことの役割」)。

 

舌とともに下顎が動くと閉じ合わせが解除されてしまいます。

 

タンギング無しではいい音で鳴らせるので、本来的にはこれはすでにできているわけです。

 

問題は舌と下顎の動きを整理したかたちで制御できるかどうか。

 

高音域ではタンギングつけても問題なかったので、そのうまくいっている動きを使うことから始めました。

 

タンギングしながらのスケールなどを高音域でしばらく吹いてもらい、そのときの唇の閉じ合わせはそのままにタンギングしながら中低音域まで続けてもらいます。

 

ズバババ!とクリアに鳴り始めて、僕もびっくりしました。

 

ただ、下顎が動いてアパチュアが開こうとするのを力で閉じ合わせているとのこと。

 

そこで手足のツボに鍼をして顎関節や表情筋などの緊張を調整。

 

もう一度同じことをやってもらうとさっきよりも力を抜いて吹けたとのコメントを得ました。

 

鍼をすると体の状態が変わります。

 

変わった体の状態を初期条件として楽器を吹くと今までの記憶と異なるフィードバックを脳が受けます。

 

この差分、違和感のおかげで脳は今までと違うやり方で体を制御し始めます。

 

このプロセスをへて動作と思考の通り道の切り分け・整理がなされると、不都合なことを起こさずにやるべきことだけできるようになるんじゃないかと考えています。

 

この方の場合やや遠方なのでお会いできるのは月1回くらいですが、それでも来院ごとに着実に良くなっています。

 

自分で練習するときもいろんなことに気をつけて試行錯誤してらっしゃるそうです。

 

その姿に僕の方が希望をいただいてます。

この記事を書いた人

2016年、東京練馬区の江古田にてbodytune鍼灸マッサージ院を開業。

鍼灸師、マッサージ師。アレクサンダー・テクニーク教師。

 

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