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脊椎の生理的弯曲を考え直してみる

" 体のしくみ "

2018年10月11日

こんにちは!ハリ弟子です。

 

ここに人間の脊椎(背骨)があります。

上から順に赤が頚椎(けいつい)、青が胸椎(きょうつい)、黄色が腰椎(ようつい)、緑が仙椎(せんつい)、紫が尾椎(びつい)です。

 

医療系の学校では頚椎と腰椎は前弯(前側=お腹側にふくらんでいること)、胸椎は後弯(後ろ側=背側にふくらんでいること)が、脊椎の生理的弯曲であると教えられます。

 

世界中のアレクサンダー・テクニークの学校でも例外なくこのとおりに教えられているでしょう。

 

しかしこの「生理的」とはどういう意味でしょう。

 

辞書的には「体のはたらきや機能に関する、理屈ではなく本能的な」くらいの意味です。

 

医学の世界ではこれに「病理的」の反意語としての意味合いが加わります。

 

病理的の反意語となると「正常な」といったニュアンスが入ってきます。

 

そこで、この2つを合わせると生理的弯曲とは「体が本来的に持っている正常な機能としての弯曲」くらいの意味合いと理解されます。

 

脊椎が弯曲しているのは事実です。

 

これについて異論はないのですが、生理的がつくとハリ弟子はどうも違和感を感じてしまいます。

 

なぜなら椎骨1つ1つの可動域を足し合わせると、生理的弯曲と逆の弯曲を作ることも可能だからです。

 

もし生理的弯曲の形をして1mmも動かない脊椎があったとしたら、それは生理的でしょうか?

 

ハリ弟子は病理的だと思います。

 

逆に生理的弯曲と逆の弯曲をしていたとしても動ける脊椎であれば、それは生理的だと思います。

 

つまり、生理的かどうかは可動性で考えたいのです。

 

また、頚椎前弯、胸椎後彎、腰椎前弯というのも厳密に考えて本当にそうでしょうか?

 

おおむねそうだというのはそう思いますが、弯曲の向きはそんなにスパッと切り替わるものでしょうか?

 

これについて脊椎の骨を1個1個計測した研究があります。

 

>>ヒト及び他の哺乳類における椎体の比較形態学的解析

 

研究者らは、病変が少なく保存状況が良好な現代日本人(明治~大正時代)の人骨標本から年齢による変化が大きい20歳以下と70歳以上を除外して、男女26個体ずつ(合計52個体)のサイズを実測しました。

 

計測した数値の中に椎体の厚さを前後で比較したものがあり、図示すると次のようなものです。

 

Aが椎体の前側(お腹側)の厚さ、Bが後ろ側(背側)の厚さです。

 

この2つを比べることで、椎骨そのものの形として前側に傾いているか後ろ側に傾いているか分かります。

A÷Bが1未満なら前屈、1なら傾いていない、1より大きければ後屈をあらわします。

 

この数値をグラフ化するとこうなります。

 

頚椎はC1~C7ですが、C1とC2は椎体が癒合して歯突起になっているためそもそも計測が不可能、よってC3からの数値となります。

 

胸椎はT1~T12、腰椎がL1~L5です。

 

頚椎ではC5とC6は前屈つまり後弯に向いた形、C7を経てT1からT4はすでに胸椎の区画に入っていますが後屈つまり前弯に向いた形をしています(男性のT1が1を割っていますが、ほぼ傾きなしとみなします)。

 

その後、T9の上下あたりで傾きがないかわずかに後屈になりますが、T12までだいたい前屈です。

 

前屈の傾向は腰椎に入ってもL1とL2まで続き、L3を境に逆転します。

 

実際の脊椎は椎間板、靭帯、筋肉の作用などを合わせた全体の力学を反映して前弯や後弯が形成されます。

 

なので椎骨の形をもって頚椎と腰椎の前弯、胸椎の後弯というおおざっぱな傾向を否定するものではありません。

 

しかしアレクサンダー・テクニークのレッスンで生徒さんのやりたい動きを考える時にはこれでは雑過ぎると感じることがたまにあるのです。

 

例えば昨日ご紹介したMRI画像で声楽や管楽器奏者の頚椎が後弯していましたが、これがもし必要な動きなんだとしたら、「頚椎の生理的弯曲は前弯である」という知識はじゃまになります。

 

目の前の生きた人を観て、考えて、やってみて検証するという本来の意味での科学を大切にしたいと思います。

この記事を書いた人

2016年、東京練馬区の江古田にてbodytune鍼灸マッサージ院を開業。

鍼灸師、マッサージ師。アレクサンダー・テクニーク教師。

 

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