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中国古典理論とのつきあい方

" 東洋医学 "

2020年8月2日

昨日から梅雨明け。

 

いきなりの夏空で暑い一日でした。

 

 

先日ふれた大阪大学近藤先生のブログがおもしろくて他の記事も読みふけってしまいました。

 

特にこの2つ。

 

生命科学でインディジョーンズしよう(前編)

 

生命科学でインディジョーンズしよう(後編)

 

この中で数理モデルの良さについて、未知の現象が起こる可能性を計算によって導き出せる点にあると言っています。

 

やみくもに実験や観察をくり返すよりも高い確率で貴重な発見に到達できるかも知れないのですね。

 

だから数理モデルのことを科学者にとっての「宝の地図」と呼んでいます。

 

僕は知らなかったのですが、近藤先生、かなり有名な方でした。

 

ご自身がチューリング理論というモデルに賭けて、研究者として「一山当てた」おもしろい経歴の方みたいです。

 

さて僕にとって良かったのは、これを読んで鍼灸の古典理論に感じてきたもやもやが整理されたことでした。

 

今日の本題はこちらです。

 

陰陽五行など中国の古典理論は最強です。

 

なんでも説明してしまいます。

 

鍼灸を学び始めたころ素直に「これすげえじゃん!」と思いました。

 

ところがなにか分からないけど違和感も感じていました。

 

違和感を感じながらも「筋肉の症状というのはこれは肝の病証ですから」としたり顔で話してたわけです、、

 

この違和感の正体、説明しようとするとなかなか難しくてうまくいったことがほとんどありません。

 

だいたい相手が怒るか、前提がすれ違ったまま平行線になるか、話を現代医学的鍼灸に持っていかれるかでした。

 

誤解されたくないのは僕は古典理論を否定したいわけではないことです。

 

むしろ逆で、なにかすごい可能性を感じています。

 

一方で古典理論でなんでも説明してしまうことのうさん臭さも感じています。

 

このひねくれたアンビバレントなところが、明確に古典派/現代医学派と自己規定してる人には理解されなかったかも知れません。

 

今回も失敗に終わる可能性が高いことをあらかじめおことわりして自分へのハードルを下げておきます。

 

中国の古典理論はなぜ最強か?

 

それはそもそも分類の原理であるという特性から来ています。

 

考えてみたら分類できないものはありません。

 

多少迷うとしても「決め」の問題で陰・陽どっち?って言われたらどっちかにしちゃいます。

 

さらに五行では似たものどうしを5つに分類し、色体表で垂直展開まで可能にしちゃいました。

 

最強の説明能力がありますが、だからこそこの理論は説明に用いてはならないと思います。

 

その理由も分類の原理という特性にあります。

 

分類とは一種の定義づけです。

 

だから説明がどこまでも定義を語ることから超えて行けないのです。

 

定義は人が決めた約束ごとみたいなものです。

 

「なぜそうなるのか?」の問いに「そういうものだからです」と答えるようなやりとりになります。

 

遅いよ!という感じですが、僕もはっきり理解したのは最近のことです。

 

この同じ構造はアーユルヴェーダなどあらゆる伝統医術、代替医療にも言えると思うので一度考えをめぐらせてみるとおもしろいでしょう。

 

違和感の正体の説明はここまで。

 

次は可能性を感じているところについて。

 

陰陽五行は、2(陰陽)、5(五行)といったシンプルな数字の組み合わせとして抽象モデルとしても使える特徴があります。

 

観察や体験を積み重ねることで人の発想が行きつける範囲はたかが知れています。

 

そんなときモデルを使うと、突拍子もないところに未知の解が見つかる可能性があります。

 

うまく当たると飛躍的にものごとを発展させます。

 

近藤先生の数理モデルと同じです。

 

しかし欠点はモデルどおりの現象が実際にあらわれるのがまれということ。

 

ここでも古典理論の最強なところがリスクになります。

 

現象の観察なしにモデル先行で理論を組むという愚をやってしまいやすいのです。

 

だって理論はなんでも説明できるし正しいんだから。

 

すると、定義の上に仮説を組み仮説の上にさらに仮説を組んだものが定説になり、効かない鍼灸理論ができあがる、、、ということが残念ながら否定できません。

 

この点には注意が必要ですが、古典理論は人間の発想を思いもよらぬところに連れて行ってくれる可能性を秘めています。

 

ただし事実性というアンカーはしっかり必要で、これが両立できたときに再現的で理論体系もしっかりした鍼灸ができあがると考えています。

 

ここからは蛇足ですが、、、

 

古典的でかつ事実性に基づいた再現可能な鍼灸って整動鍼をやる前には思ったこともありませんでした。

 

知財なので広くあまねく公開とはいかないのでしょうが、本当は鍼灸師全員がこれを知ったらすごいことになると思います。

 

「下手な」鍼灸師は多分いなくなります。

 

どこに鍼すると体がどう反応するか、事実に基づいて技術体系ができているからです。

 

現在の鍼灸学校で担保されているのは安全に鍼を刺せるところまでです。

 

鍼灸の教員養成科(「鍼灸学校の」教員を養成するコース)は「(教員になるのではなく)治せるようになるために」進学する人が増えていると言われましたから。

 

整動鍼を導入すると体に意図した変化を起こすところまで担保できるようになります。

 

すると上手下手のレベルがどの変化を選ぶか、選択眼のようなものに格上げされます。

 

当たり前ですが「治せる」までの距離はぐっと近いです。

 

現実的かどうか分かりませんが、学校として整動鍼を導入したらそこの学生は卒業時点ですごいアドバンテージを得ることになると思うのですが、、

 

そういうライセンス契約とかあったら面白いですね。

この記事を書いた人

2016年、東京練馬区の江古田にてbodytune鍼灸マッサージ院を開業。

鍼灸師、マッサージ師。アレクサンダー・テクニーク教師。

 

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