東京都練馬区の音楽家のための鍼灸とアレクサンダー・テクニーク

お腹のツボと呼吸の関係

" 東洋医学 "

2020年9月27日

このところ、戦前の名人鍼灸師だった沢田健について書かれた『鍼灸真髄』(代田文誌著、医道の日本社)を読んでの雑感を記しています。

 

今日は3回目でとりあえず最後です。

 

肋骨の動きを制約するもの、それは体の前面にもあります。

 

分かりやすいのは腹筋

 

腹筋を硬くしたままだと呼吸しづらくなりますね。

 

肋骨と横隔膜の動きを前側で制約するからです。

 

鍼灸では体の前面に散らばる重要な経穴として募穴(ぼけつ)があります。

 

各臓腑の経気が集まるところと考えられていて、全部で12か所ありそれぞれ心臓や肺などの臓腑と関係づけられています。

 

中でも期門(きもん)、日月(じつげつ)、章門(しょうもん)、京門(けいもん)という経穴は第9~第12肋骨の先端部にあります。

 

これらはそれぞれ肝、胆、脾、腎の募穴です。

第9肋骨の先端部(第9肋軟骨の付着部):期門(肝の募穴)

第10肋骨の先端部(第10肋軟骨の付着部):日月(胆の募穴)

第11肋骨の先端部:章門(脾の募穴)

第12肋骨の先端部:京門(腎の募穴)

 

期門と日月は現在の鍼灸学校の教科書では胸部前面の第6肋間と第7肋間ですが、ここではかつての取り方に依拠しています。

 

ここに経穴があることは腹筋と横隔膜への作用を思わずにはいられません。

 

前回書いた膀胱経2行線と合わせて体の後面と前面からアプローチすると考えれば呼吸を深くする意図で使えそうです。

 

肋骨と横隔膜が動けるようになると呼吸が楽になります。

 

横隔膜の上下の動きはまた腹部内圧に高低のリズムを生みます。

 

このリズムが内臓の物質代謝を促しその機能を亢進すると考えたら、文字どおり空気の入れ替えで内臓の気を動かすという分かりやすい姿が見えてきます。

 

ところで沢田健は腎の募穴(京門)を第12肋骨先端部から腰椎2番外方(通常の志室の位置)に移して取ったそうです。

 

膀胱経1行線の背部兪穴の配列では胸椎9番~12番はそれぞれ肝、胆、脾、胃に割り当てられるので、肋骨もそれにならうなら第12肋骨は胃の募穴という考えも成り立ちます。

 

しかし胃の募穴、中脘(ちゅうかん)はみぞおちからへその中間点に配置されています。

 

実際そのあたりに胃はあるし解剖学的に考えたら第12肋骨はむしろ腎臓だと思うわけです。

 

なので背部兪穴との関係を崩しても京門を腎の募穴とするのに普通疑問は生じません。

 

しかし沢田健は腎臓炎の患者に施術して「腎の募は浮肋骨の尖端にはあらわれず、従来の志室の処にあらわれる。」と結論しています。

 

肋骨の先端にこだわるとしたら通常の志室に角度をあてて指を押し込むとその先には腰椎の肋骨突起があります。

 

しかしそれは第3腰椎の肋骨突起なので腰椎2番を基準に命門や腎兪を取る考え方とは厳密には合いません。

 

何年も実地で検証して考えた末に変えているので、論理的整合性というより臨床的な事実に基づいて京門の位置を移したに違いありません。

 

『鍼灸真髄』からうかがい知れるのは「腎臓の反応が出るところ」ですがこれだけではようとして知れません。

 

これが分かると沢田健の考えた「臓腑の経気」がなんだったのか知ることができ、その施術をもっと理解できると思うのですが、、、

 

本は具体的なことを語らぬまま名人の臨終で結ばれています。

この記事を書いた人

2016年、東京練馬区の江古田にてbodytune鍼灸マッサージ院を開業。

鍼灸師、マッサージ師。アレクサンダー・テクニーク教師。

 

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