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運気論医学

" 東洋医学 "

2017年12月7日

こんにちは!ハリ弟子です。

 

昨日に引き続き、山田慶兒著『気の自然像』を読んで興味深かったところを書こうと思います。

 

 

鍼灸師と古典の話をすると、ときどき驚きます。

 

「これはおかしいんじゃないか!」と舌鋒鋭く批判する相手が千年位前の古典の著者だったりするからです。

 

古典だからと鵜呑みにせず批判的に検証するには、同じ「陰陽」「五行」の世界観でものを考えて実臨床で使っていないと無理です。

 

さて、山田氏も、抽象化・一般化され数学的理論として発展する傾向を帯びていた「陰陽」「五行」が、最高度に発展した結果どうなったか、運気論を題材に批判的に検証しています。

 

運気論とは、気象の理論です。

 

1年には四季があり、毎年同じ季節には同じような気候を繰り返しますが、それでもまったく同じにはならず、年によっては異常気象と呼ばれたりします。

 

大きく見れば規則性をもって循環していながら、実際の局面局面ではその規則から多少はずれるような現象をどう説明し予測するのか、を追求する中で運気論は発展してきました。

 

具体的には、十干と十二支をかけ合わせて60年周期で1周するモデルを組み、各々の年について、十干と十二支の意味合いを当てはめます。

 

さらにこれを精緻化して、日時にまで拡張するようになります。

 

これが、占いに応用されると九星気学になりますし、医学に応用されると運気論医学となります。

 

 

南宋(1127年~1279年)の時代以降、運気論医学の潮流は大きくなり、やがて完全に支配的なものとなります。

 

さて、中国の古典自然哲学は、当初から抽象化・一般化に向かう性格をはらんでおり、「陰陽」も「五行」も、具体的実体をそなえたある特定のものを示すのではなく、同じような作用・性質を持つものをあまねく束ねることができる概念でした。

 

そのおかげで、まったく関係のなさそうなものを五行色体表という一覧表にまとめることができ、患者の病態を理解し治療法を考える上で実用とされてきたのです。

 

 

それが、日時にまで細かく当てはめられるようになって何が起こったか?

 

支配的となった運気論医学のもとでは、患者の生まれた年月日と病気にかかった日をもって、その人の運気を計算して、治療法を決めたり予後を推測する医者まで現れるようになったそうです。

 

もはや患者さんを診察することすら必要ありません。

 

ここに至ると、山田氏も「理論と経験的事実との格闘があまりにも希薄」と述べています。

 

さすがに治療の役に立たないので、捨たれました。

 

現在、これをそのままの形で実践している人はいないと思います(気象や環境と体調との関係として、多少考慮する人はいるかも知れません)。

 

「経験的」と言われる東洋医学において、このような歴史があったのは興味深いです。

 

「陰陽」も「五行」も、複雑多岐にわたる現象を観察して、それをどう理解すればよいか、またその理解をもとに次に我々がどうすればよいかを考える時に役に立ってくれます。

 

中身がどうなっているか具体的に分からなくても、あらかじめ分類されたパターンに現象をあてはめればよいからです。

 

仮にその結果が思わしくなければ、適用のしかたが間違っていたということで、違うパターンを試すまでです(漢方薬はもっと慎重にやりますが、、)。

 

実臨床での実用に耐えて、有効性を認められたものだけが基本的には生き残っています。

 

あらかじめ理論が設定されている鍼灸医学では、現実の観察への理論の適用法とそこからの展開に役立つかどうかが問題です。

 

そして、どのような場合にどの理論が有効か、実践してみないと分かりません。

 

実践とセットになっていなければその理論はいつまでも机上のもの、つまり使えないのです。

 

かつての運気論医学の歴史は、古典的治療を行おうとする現代の鍼灸師に、その拠って立つ自然観がそもそも持っている性格と、それに起因する有効性の範囲をどう決めるのか、という問いを投げかけています。

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